お札の顔はどうして変わるの?

公開:2026-07-25 更新:2026-07-25 読了 約6分

図解

1 明治15(1882)年 改造紙幣に「すき入れ」を採用 2 明治18年 日本銀行が第1号のお札を発行 3 平成5(1993)年12月1日 マイクロ文字の導入が始まる 4 これまでの累計 56種類が発行・大きな改刷は過去14回 5 2024年7月3日 一万円・五千円・千円の3券種を改刷 6 新券の特徴 ホログラムなど新しい偽造防止技術を搭載

図解:問いを6ステップで読みとく流れ(自動生成)

にせさつを作られないように、新しい技術を入れてデザインを変えるから。

あたらしいおさつて、「あれ、かおがちがう」とおもったことはありませんか。一万円いちまんえんさつは渋沢栄一しぶさわえいいち五千円ごせんえんさつは津田梅子つだうめこ千円せんえんさつは北里柴三郎きたざとしばさぶろう国立印刷局こくりつインサツきょくによると、この3種類しゅるいは2024ねん7がつ3にちあたらしくなりました。

デザインをあたらしくすることを「改刷かいさつ」といいます。いちばんの目的もくてきは、だれもが安心あんしんしておさつ使つかえるようにすること。コピーやスキャナーがひろまると、にせのおさつつくろうとするひとてきます。そこで、まねのしにくいあたらしい技術ぎじゅつをくわえて、がらごとつくりかえるのです。

かたむけるとうごいてえるホログラム、ひかりにすかすとかびあがるすきれ、むしめがねでやっとめるマイクロ文字もじ。どれもかんたんにはまねできないしかけです。おさつひかりにすかしたり、ななめにかたむけたりして、じっさいにさがしてみるとおもしろいですよ。大人おとなひとにたのんで、一緒いっしょてみましょう。

そして大事だいじなこと。あたらしいおさつても、まえのおさつ使つかえなくなるわけではありません。むかしのおさつも、いまもちゃんとおかねとして通用つうようするように法律ほうりつまもられているのですよ。

お札の絵柄を新しくする作業を「改刷」と呼ぶ。国立印刷局の解説によれば、その一番の目的は、誰もが安心してお札を使える状態を保つことにある。パソコンやスキャナー、カラーコピー機といった複製機器の普及を背景に偽造紙幣が増えた時期があり、そのたびに新しい防止技術を足しながら意匠を刷新してきた。決まった年数で機械的に切り替わる制度ではない、という点が押さえどころだ。

意匠を定める権限にも法令上の根拠がある。日本銀行法第47条は、第1項で銀行券の種類を政令に委ね、第2項では肖像などの様式について財務大臣が定めて公示すると規定する。2024年7月3日に切り替わった3券種の顔は、一万円券が渋沢栄一、五千円券が津田梅子、千円券が北里柴三郎。誰を描くかという判断も、この手続きの上に載っている。

仕組みの科学

改刷の核にあるのは偽造防止技術の世代交代である。国立印刷局の解説によれば、光に透かすと絵柄が浮かぶ「すき入れ」は明治15(1882)年発行の改造紙幣から採用された古典的な技術で、紙そのものの厚みを変えて像を作るため、印刷では再現しにくい。虫めがねでようやく読める「マイクロ文字」は平成5(1993)年12月1日から導入され、複写機で写すと文字が潰れて判別できなくなる性質を利用している。傾けると像が変化して見えるホログラムは、2024年発行の新しい日本銀行券に搭載されている。

これらは「一つで守る」のではなく、複数の技術を重ねることで安全性を確保する設計になっている。誰でも確認できる特徴(すき入れ・ホログラム)と、機械が判別する特徴を組み合わせ、偽造の手口が高度化するたびに層を足していく。改刷が単なるデザイン変更ではなく技術更新であるのは、この積層構造ゆえだ。パソコンやスキャナー、カラーコピー機が普及して偽造紙幣が増えた時期があったことを国立印刷局は明記しており、複製機器の性能向上と防止技術の更新は追いかけ合いの関係にある。誰もが安心してお札を使える状態を保つことが、改刷の一番の目的とされている。

歴史と発見

日本の紙幣史は明治期に始まる。国立印刷局の解説によれば、日本銀行が明治18年に第1号のお札を発行して以来、これまでに56種類のお札が発行され、細かい仕様変更などを除いた大きな改刷は過去に14回行われた。すき入れが明治15(1882)年の改造紙幣から使われていたことを踏まえると、偽造対策は紙幣制度の初期から一貫した課題だったことがわかる。

意匠を誰が決めるのかも制度として整理されている。日本銀行の解説では、銀行券の種類は政令で定められ(日本銀行法第47条第1項)、肖像などの様式は財務大臣が定めて公示することとなっている(同条第2項)。2024年7月3日の改刷では、一万円券に渋沢栄一、五千円券に津田梅子、千円券に北里柴三郎が採用された。国立印刷局は渋沢栄一を、生涯において500もの企業設立などにかかわり「日本近代社会の創造者」と言われる人物と紹介し、津田梅子を女性の地位向上と女子教育に尽力した教育家、北里柴三郎を「近代日本医学の父」と呼ばれる細菌学者として紹介している。人物の選定は、その時代の日本の歩みをどう記録するかという判断とも重なっている。

もう一歩先

改刷でしばしば誤解されるのが「古いお札は使えなくなるのか」という点だ。国立印刷局の解説によれば、お札は法律で無制限の強制通用力があるため、法律上特別な措置がない限りこの通用力を失うことはなく、過去21種類のお札が現在も使える状態にある。つまり改刷は「置き換え」ではなく「追加」であり、財布の中の旧札が突然紙切れになることはない。

この安定性が、通貨に対する信頼の土台になっている。お札が受け取られるのは素材そのものに価値があるからではなく、いつでも同じように使えるという約束が守られているからだ。強制通用力という法的な裏づけと、偽造防止技術という物理的な裏づけの両方が揃って、はじめて紙が貨幣として機能する。改刷はその二本目の柱を更新し続ける作業といえる。

キャッシュレス決済が広がる時代にも、現金は災害時や機器の不調時に使える手段として残る。手元のお札を光に透かし、傾けて、虫めがねで覗いてみると、そこには何世代分もの技術が重なっている。誰が描かれているかだけでなく、どう守られているかに目を向けると、お札の見え方が変わってくる。

🌱 ためしてみよう!3択クイズ

本文をよんでこたえてみよう。タップでせいかいがでるよ。

Q1. お札のデザインを新しくする「改刷」のいちばんの目的はなに?
こたえ:だれもが安心して使えるように偽造をふせぐこと
国立印刷局によると、誰もが安心してお札を使えるようにすることが改刷の一番の目的です。コピー機やスキャナーが広まると偽造の心配が高まるため、新しい偽造防止技術を加えてデザインを一新します。決まった年数で自動的に変わるわけではありません。
Q2. 新しいお札が出たら、前のお札はどうなる?
こたえ:これまでどおり使える
国立印刷局によれば、お札は法律で無制限の強制通用力があるため、法律上特別な措置がない限り通用力を失うことはありません。実際に過去21種類のお札が今も使える状態にあります。新しいお札は「入れ替え」ではなく「追加」なのです。
Q3. お札の肖像(顔)はだれが決める?
こたえ:財務大臣が様式を定めて公示する
日本銀行の解説では、銀行券の種類は政令で定められ(日本銀行法第47条第1項)、肖像などの様式は財務大臣が定めて公示することとなっています(同条第2項)。法律と手続きにもとづいて決まる仕組みです。

👤 大人のちょっとした雑学

すき入れは明治15年から

光に透かすと像が浮かぶ「すき入れ」は、明治15(1882)年発行の改造紙幣から採用された。紙の厚みそのものを変えて像を作るため印刷では再現しにくく、140年以上たった今も主力の偽造防止技術として使われている。

大きな改刷は14回・発行は56種類

国立印刷局によれば、日本銀行が明治18年に第1号を発行して以来56種類のお札が発行され、細かい仕様変更などを除いた大きな改刷は過去14回。平均すると10年に1回程度のペースで技術世代が更新されてきた計算になる。

旧札21種類が今も現役

お札には法律で無制限の強制通用力があり、特別な措置がない限り通用力を失わない。そのため過去21種類のお札が現在も使える。改刷は置き換えではなく積み増しであり、この安定性が通貨への信頼を支えている。

🔬 とことん深掘り:読書ガイド

読み順ガイド(やさしい→専門)

  1. お札と貨幣の入門書(日本銀行の一般向け解説を含む)
    改刷・偽造防止・強制通用力といった基本語彙を押さえられる。制度の枠組みを先に持つと歴史書が読みやすい。
  2. 日本貨幣史(通史)
    和同開珎から近代紙幣までの流れの中で、明治期の紙幣制度確立と改刷の位置づけを理解できる。
  3. 紙幣印刷技術と偽造防止(技術解説書)
    すき入れ・凹版印刷・ホログラム・マイクロ文字などの原理を工学的に掘り下げる。積層設計の思想が見える。
  4. 貨幣論・信用貨幣論(経済学の教科書)
    紙が価値を持つ理由を経済学の枠組みで捉え直せる。強制通用力と信頼の関係が理論として整理される。

さらに進む方向

  • 日本銀行と国立印刷局の公式サイトで、新券に搭載された偽造防止技術の一覧を照合する
  • 日本銀行金融研究所貨幣博物館で、歴代紙幣の実物と偽造防止技術の変遷を確認する
  • 日本銀行法第47条の条文を読み、政令・公示による意匠決定の手続きを追う
  • キャッシュレス決済比率の統計を確認し、現金流通高の推移と併せて眺める

もっと詳しく:歴史と時系列

  1. 明治15(1882)年
    改造紙幣に「すき入れ」を採用
  2. 明治18年
    日本銀行が第1号のお札を発行
  3. 平成5(1993)年12月1日
    マイクロ文字の導入が始まる
  4. これまでの累計
    56種類が発行・大きな改刷は過去14回
  5. 2024年7月3日
    一万円・五千円・千円の3券種を改刷
  6. 新券の特徴
    ホログラムなど新しい偽造防止技術を搭載
  7. 改刷後も
    過去21種類のお札が現在も使える

ことばのメモ

改刷
お札の絵がらを新しくすること
すき入れ
光にすかすと浮かぶ絵がら
マイクロ文字
とても小さく印刷された文字
ホログラム
かたむけると絵が変わる部分
強制通用力
お金として使える法律上の力

よくある質問

新しいお札が出ると古いお札は使えなくなりますか?
いいえ、これまでどおり使えます。国立印刷局によれば、お札には法律で無制限の強制通用力があり、過去21種類のお札が現在も使える状態にあります。
お札の肖像は誰が決めるのですか?
日本銀行の解説では、銀行券の種類は政令で定められ、肖像などの様式は財務大臣が定めて公示することとなっています(日本銀行法第47条)。
なぜデザインを変える必要があるのですか?
新しい偽造防止技術を加えるためです。国立印刷局は、誰もが安心してお札を使えるようにすることが改刷の一番の目的だと説明しています。
これまで何回デザインが変わりましたか?
国立印刷局によれば、明治18年の第1号以来56種類が発行され、細かい仕様変更などを除いた大きな改刷は過去に14回ありました。

学びのタネ

この問いに関連する本・実験・サービスのご紹介です。

家でできること

  • 手元のお札を光に透かしてすき入れを探し、傾けてホログラムの見え方が変わるか確かめてみよう。
  • 国立印刷局の公式サイトで、新しい日本銀行券に使われている偽造防止技術の一覧を確認してみよう。

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出典・参考文献

  1. 国立印刷局お札に関するよくあるご質問 参照 2026-07-25
  2. 国立印刷局新しい日本銀行券特設サイト 参照 2026-07-25
  3. 日本銀行お札の額面や肖像などのデザインは、誰が決めるのですか? 参照 2026-07-25
  4. 日本銀行新しい日本銀行券の特徴 参照 2026-07-25

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