図解
図解:問いを6ステップで読みとく流れ(自動生成)
見つけやすくするため、明治時代に黒から赤いポストに変わったから。
町を歩いていると、赤いゆうびんポストをよく見かけますね。じつは日本のポストが赤くなったのは、そんなに昔のことではありません。
明治4年(1871年)に日本でゆうびんがはじまったころのポストは、木でできた「書状集箱」というものでした。そのあとは「黒塗柱箱」とよばれる黒いポストが町のあちこちにたてられました。
でも黒いポストにはこまったことがありました。ごみ箱とまちがえられたり、夜になると見えにくかったりしたのです。そこで明治34年(1901年)に、火に強くて丈夫な鉄でつくった「赤い丸いポスト」が考えだされました。赤い色は遠くからでも目立つので、ゆうびんを出したい人がすぐに見つけられるようになりました。
明治41年(1908年)10月には全国で赤い丸いポストがせいしきに決まり、日本中の町のかどに広がっていきました。それからずっと、赤はゆうびんポストの色として親しまれています。角を丸くしたのも、通る人や荷車のじゃまにならないようにするためのちえだったのです。
日本の郵便ポストは、当初から赤かったわけではない。明治4年に近代郵便が創業したときは木製の「書状集箱」、その後は「黒塗柱箱」と呼ばれる黒いポストが設置された。だが黒はゴミ箱と誤認されたり、夜間に視認しにくかったりと、実用上の問題を抱えていた。
郵政博物館の記録によれば、明治34年(1901年)に火事に強い鉄製の赤色丸型ポストが考案され、明治41年(1908年)10月に「鋳鉄製赤色円筒形ポスト」がひな型として正式に定められ、全国に設置されていった。赤にした最も大きな理由は「位置をわかりやすくするため」つまり視認性の確保だ。街並みが多色化した現代でも、赤いポストは遠くから郵便投函の場所を示す道しるべとしての機能を保ち続けている。
仕組みの科学
「なぜ赤か」を色彩科学の視点で見ると、赤は人間の視覚系にとって特に目立ちやすい色だ。可視光のうち赤(波長約620〜750nm)は空気中で散乱しにくく、遠距離でも彩度を保ったまま届く。街中で信号機の停止色や消火栓、消防車、そして郵便ポストに赤が選ばれるのは、この「距離を越えて視認性を保つ」性質による部分が大きい。加えて赤は自然界で警告色として広く使われ、人類の進化的経験からも「注意を向ける色」として認知されやすいことが知られている。
ポストという設置物に求められる要件は、①遠くから見つけやすい ②他の街路設備と混同されない ③汚れや経年劣化に強い の三点だ。明治期の日本の街並みは木造家屋と土壁が中心で、彩度の高い赤は際立ちやすかった。当時の塗料技術で耐候性を確保できる有色顔料としても赤は現実的だった。素材の鉄も、木製ポストの朽ちやすさ・防火性の低さを克服するうえで重要な選択で、色と材質の両輪が「赤い鉄製ポスト」という現代の原型を成立させた。設置物の色は単なる装飾ではなく、社会インフラの機能設計そのものである。
歴史と発見
日本の郵便制度は明治4年(1871年)1月24日、前島密の建議により東京・京都・大阪間で創業した。最初のポストは木製の「書状集箱」で、脚付きの箱に投函口が開いた素朴な造形だった。数年後には「黒塗柱箱」と呼ばれる黒色の円柱型ポストに置き換わったが、国立国会図書館レファレンス協同データベースの回答が児童書を引用して指摘するように、黒いポストは「ごみ箱とまちがえられる」「夜に見えにくい」という実用上の問題を抱えていた。
明治34年(1901年)、火事に強い鉄製の赤色丸型ポストが試作・導入され、視認性と防火性の両面で従来型を大きく上回った。郵政博物館の資料によれば、明治41年(1908年)10月に「鋳鉄製赤色円筒形ポスト」が正式なひな型として定められ、全国に一斉に配備されていく。角を丸くしたのは通行人の妨げにならないようにする配慮であり、街路空間との調和も考慮されていた。以降、昭和・平成を経て角型ポスト、多口投函ポスト、車寄せ対応ポストなど形状は多様化したが、「赤い」という色だけは一貫して継承されている。日本郵便株式会社の教育向けサイト「手紙の書き方体験授業」でも、この歴史は子供向けに繰り返し伝えられている。
もう一歩先
郵便ポストの色は国によって驚くほど異なる。イギリスは赤(ロイヤルメール)、アメリカは青、ドイツは黄色、フランスも黄色、中国は緑と、地域ごとに独自の伝統色がある。各国の色選択には、その国の郵政制度が確立した時代の技術・文化・視認性の要求が反映されている。日本の赤は、明治期の「黒ポスト問題」を解決するための実用的判断から生まれ、それが100年以上維持されてきた文化財的な色でもある。
現代の日本では、街並みや景観条例の観点から、地域限定で青や茶色などの特別色ポストが設置される例もある。しかし基本色は今なお赤で、都市部の再開発や地方の観光地でも、赤いポストは日本の街並みの記号として国内外から親しまれている。ポストの数は電子メールやコンビニ発送の普及で全国的に減少傾向にあり、日本郵便は投函データや利用実績を踏まえたポスト配置の最適化を進めている。一方で「町の目印」「季節の風景」としてのポストは、郵便物のためだけでなく、地域の記憶を象徴する存在にもなっている。郵政博物館では歴代のポストが実物で展示されており、赤いポストの100年余りの歩みを目の前で確かめることができる。
🌱 ためしてみよう!3択クイズ
本文をよんでこたえてみよう。タップでせいかいがでるよ。
Q1. 日本で最初のゆうびんポストは何色だった?
Q2. ポストを赤くしたのはどうして?
黒いポストは「ごみ箱とまちがえられる」「夜に見えにくい」という問題がありました。赤は遠くからでも目立つ色なので、郵便を出したい人がすぐに見つけられるように選ばれたのです。
Q3. 赤いポストが正式に日本全国で決まったのはいつごろ?
郵政博物館の記録によると、明治41年(1908年)10月に鋳鉄製赤色円筒形ポストが正式なひな型として決まり、全国に配置されていきました。今から100年以上前のことです。
👤 大人のちょっとした雑学
初代赤ポスト誕生のキーワードは「防火」
明治34年に鉄製赤色丸型ポストが考案された最大の理由の一つが「火事に強い」ことだった。木造家屋密集地の火災は日常茶飯事で、木製ポストは焼失リスクが高かった。鋳鉄という素材選択と赤色塗装は、防火と視認性を同時に解決する実用主義的な設計判断だった。
ポストの丸みは「通行人への配慮」だった
明治41年に正式化された円筒形ポストの丸みは、単なるデザインではない。当時の狭い街路で通行人の衣服が引っかからず、荷車や人力車の通行を妨げないよう計算された機能形状だ。ユニバーサルデザインの発想が明治期の日本にも息づいていたことがわかる。
世界のポスト色はまるで違う
イギリス赤・アメリカ青・ドイツ黄・フランス黄・中国緑と、郵便ポストの色は国ごとに独自の伝統がある。それぞれの国の郵政制度が確立した時代の視認性要求と文化的美意識の産物だ。日本の赤も、100年以上続く「文化財級」の色として国内外から親しまれている。
🔬 とことん深掘り:読書ガイド
読み順ガイド(やさしい→専門)
- 郵便ポストの町を歩く(星名定雄、鹿島出版会)
現存する古い郵便ポストを地域ごとに追いかけた紀行的入門書。まず全国のポストが「モノ」として今も現役であることを実感するのに最適で、その後の歴史・制度への関心を自然に導いてくれる。 - 郵便創業一五〇年(日本郵便史学会、日本郵趣出版)
郵便制度150年史を体系的にまとめた記念出版。ポストは郵便業務の一部門であり、制度全体のなかで色や形状の変遷を位置づける視点が得られる。 - 前島密自叙伝(近代日本郵便の父の一次資料)
日本の郵便制度創業の建議者・前島密自身の記録。ポストという物理設備が生まれる前段としての「制度設計の思想」を、一次資料で追体験できる。 - 日本郵便史(郵政省編・非売品/古書市場)
戦前の郵政省が編纂した公式通史。ポスト形状の変遷、規格の制定過程、地方配備の実態が公文書ベースで詳述される専門書。 - Design of Everyday Things(Don Norman、Basic Books)
ポストという「使われる公共物」のデザインを、認知科学とアフォーダンスの観点から抽象化して考えるための古典。日本の赤ポストが持つ視認性・親しみやすさを、普遍的なデザイン論に接続できる。
さらに進む方向
もっと詳しく:歴史と時系列
- 1871年明治4年・郵便創業・木製「書状集箱」設置
- 明治初期黒色円柱型「黒塗柱箱」に置き換わる
- 1901年明治34年・鉄製赤色丸型ポストを考案
- 1908年10月明治41年・鋳鉄製赤色円筒形ポストを正式ひな型化
- 昭和期角型・多口型など形状は多様化するが赤色を維持
- 現代景観条例地域で青・茶色などの特別色ポストも設置
ことばのメモ
- 書状集箱
- 木で作った初期の郵便箱
- 黒塗柱箱
- 明治期の黒い円柱型ポスト
- 鋳鉄
- とかして型に流した硬い鉄
- 視認性
- 目で見つけやすさのこと
- 前島密
- 日本の郵便制度を作った人
よくある質問
日本のポストが赤いのはいつからですか?
むかしのポストは何色でしたか?
外国のポストは何色ですか?
ポストの角が丸いのはなぜですか?
学びのタネ
この問いに関連する本・実験・サービスのご紹介です。
家でできること
- 近所のポストを観察して、丸型・角型・多口型など何種類あるか数えてみよう。
- 郵政博物館(東京スカイツリータウン内)に行き、明治時代の黒いポストや初期の赤いポストの実物を見てみよう。
- 国立国会図書館レファレンス協同データベースで「郵便ポスト 歴史」を検索し、児童書リストから1冊読んでみよう。
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出典・参考文献
- 国立国会図書館 レファレンス協同データベース日本の郵便ポストの歴史と色、形についてわかりやすく紹介されている児童書がみたい。 参照 2026-07-17
- 郵政博物館郵便ポストの移り変わり 〜日本最初のポストから現在のポストまで〜 参照 2026-07-17
- 日本郵便株式会社(手紙の書き方体験授業)郵便の豆知識 -郵便ポスト- 参照 2026-07-17
- 郵政博物館国内公式第1号の鋳鉄製赤色円筒形ポスト「回転式ポスト」 参照 2026-07-17
出典・正確性ポリシー:詳しく読む
明治4年(1871年)に始まった日本の郵便では、まず木でできた「書状集箱」がおかれ、そのあと「黒塗柱箱」という黒いポストが登場しました。赤いポストが使われるようになったのは明治34年(1901年)からです。