一番古いお金は何?

公開:2026-07-17 更新:2026-07-17 読了 約6分

図解

1 7世紀前半〜中頃 無文銀銭が使われる(銀の重さで価値を決める秤量貨幣) 2 7世紀後半 富本銭が鋳造される(飛鳥池遺跡で1998年に発見) 3 708年(和銅元年) 和同開珎が発行され本格的に流通 4 8〜10世紀 皇朝十二銭が順次発行される 5 1998年 飛鳥池遺跡から富本銭と鋳造道具が出土 6 2015年 日本銀行金融研究所貨幣博物館がリニューアルオープン

図解:問いを6ステップで読みとく流れ(自動生成)

1998年発見の富本銭が7世紀後半で日本最古とわかったから。

みなさんは、お金がなかった時代のことを想像したことがありますか?大むかしの日本には、まだ紙のお札もなく、コインすらありませんでした。ものと物を交かんしたり、米や布をお金の代わりに使っていたのです。

では、日本で一番古いお金は何でしょう?学校では長いあいだ、「和どうちん」(708年に発行)が一番古いと教えられてきました。でも1998年、奈良県の飛鳥いけ遺跡から、それより古い「富本ふほん銭」が発見されたのです。作られたのは今から1300年以上前、7世紀の後半でした。

さらに研究が進むと、富本銭よりももっと前に、「無文むもん銀銭」という文字のない銀のお金が使われていたこともわかっています。ですが「作って世の中に広く回した最初のお金」としては、和同開珎がやはり大事な位置にあります。

東京の日本橋にある「日本銀行金融研究所 貨幣博物館」に行くと、これらの本物のお金を見ることができますよ。むかしの人たちがどのように工夫してお金を作り、世の中に広めていったのか、その長い歴史の流れをじっくりたどってみてください。

日本で最初のお金は、長らく708年発行の「和同開珎」だと信じられてきた。だが1998年、奈良県の飛鳥池遺跡(明日香村)の発掘調査で、7世紀後半に鋳造された「富本銭」が確認された。飛鳥池からは富本銭本体だけでなく、鋳型・ルツボ・やすりといった鋳造道具まで出土しており、この地で製造されていたことに疑いはない。日本銀行金融研究所貨幣博物館の解説によれば、さらに古くには文字のない「無文銀銭」が使われていた記録もある。ただし富本銭や無文銀銭は流通範囲が狭く、儀式や祝儀の用途が中心だったとする見方もある。「本格的かつ継続的に造られ、日本の広範囲で流通した最初の貨幣」は依然として708年の和同開珎だ。「日本最古の貨幣は何か」という問いは、「作られた最古」「流通した最古」の二軸で見る必要があるのだ。1998年の発掘は、教科書の記述を書き換えた歴史的発見でもある。

仕組みの科学

そもそも「お金」とは何だろう。日本銀行金融研究所貨幣博物館の解説によれば、貨幣は「物々交換の不便を解消するための共通の価値尺度」として生まれた。飛鳥時代以前の日本では、米・絹・布・塩などがそのままお金の役割を果たしていた。しかしこれらは持ち運びが大変で、細かい取引にも向かない。そこで唐(中国)から伝わった「銅銭」の技術を取り入れることになる。7世紀後半、朝廷は独自の銅銭を鋳造しはじめた。それが富本銭である。原料の銅は各地の鉱山から集められ、鋳型に流し込んで大量生産された。表面には「富本」の文字と、七つの点で星を表す独特のデザインが刻まれた。1998年の飛鳥池遺跡の発掘では、富本銭本体に加え、鋳型・ルツボ・やすりといった製造道具までまとまって出土した。まさに「日本最古の造幣工房跡」が発見されたのだ。この鋳造技術は、和同開珎、皇朝十二銭(8〜10世紀)へと受けつがれていく。貨幣制度は、単なるお金の話ではなく、国家が「価値の基準」を統一していく壮大な社会実験でもあった。

歴史と発見

1998年、奈良県明日香村の飛鳥池遺跡から、富本銭が出土した。日本銀行金融研究所貨幣博物館の解説によれば、この発見以前、日本最古の銭貨は708年(和銅元年)発行の和同開珎とされてきた。教科書にもそう記載されていた。だが飛鳥池からの出土品は、明らかにそれよりも古い層から見つかり、鋳造年代は7世紀後半と推定された。同じ遺跡から鋳型やルツボまで出土したことで、「近くで造られた本物の貨幣」であることが確定した。富本銭より古くさかのぼると、「無文銀銭」の存在も確認されている。これは文字のない銀の円盤状で、7世紀前半から中頃に使われた記録がある。銀の重さで価値を決める、いわば「秤量貨幣」だったと考えられている。この発見の連鎖により、日本の貨幣史は「和同開珎から」ではなく「富本銭、そして無文銀銭から」へと書き直された。教科書の記述も改訂され、多くの博物館の展示解説も更新されている。1998年の発掘は、日本考古学史に残る画期的な成果となった。

もう一歩先

「日本最古の貨幣」を問うとき、実は「何をもって“最古”とするか」で答えが変わる。文化庁「文化遺産オンライン」に登録される日本銀行金融研究所貨幣博物館の解説では、この点を明確に区別している。「最古の鋳造貨幣」は富本銭(7世紀後半)。「文字のない銀貨として最古の使用例」は無文銀銭(7世紀前半から中頃)。そして「本格的かつ継続的に発行され、日本の広範囲で流通した最初の貨幣」は依然として和同開珎(708年)である。無文銀銭や富本銭は流通範囲が限定的で、儀式や祝儀の用途が中心だった可能性が高いためだ。この違いは、貨幣が社会に定着するには「発行」だけでは足りず、「税や給与での使用」「商取引での受け入れ」「地方への普及」という段階を経ることを示している。和同開珎以降、朝廷は「皇朝十二銭」と呼ばれる12種類の銅銭を10世紀までに順次発行するが、それも次第に流通が細り、中国輸入銭に取って代わられていく。「お金の歴史」は、単なる年表ではなく、社会と技術の相互作用の記録なのだ。

🌱 ためしてみよう!3択クイズ

本文をよんでこたえてみよう。タップでせいかいがでるよ。

Q1. 日本で最古の鋳造貨幣として1998年に発見されたのは?
こたえ:富本銭
富本銭です。1998年、奈良県明日香村の飛鳥池遺跡から出土し、鋳造年代は7世紀後半と推定されました(日本銀行金融研究所貨幣博物館)。
Q2. 富本銭が発見された場所はどこ?
こたえ:奈良県明日香村の飛鳥池遺跡
奈良県明日香村の飛鳥池遺跡です。1998年の発掘調査で、富本銭本体に加え、鋳型・ルツボ・やすりといった鋳造道具までまとまって出土しました。
Q3. 東京日本橋にある、お金の歴史を学べる博物館は?
こたえ:日本銀行金融研究所 貨幣博物館
日本銀行金融研究所 貨幣博物館です。日本銀行本店の近くにあり、富本銭・和同開珎など日本のお金の歴史を実物で見ることができます(入館無料)。

👤 大人のちょっとした雑学

教科書を書き換えた1998年の発見

1998年、飛鳥池遺跡から富本銭と鋳造道具が一括出土した。日本最古の貨幣は708年の和同開珎から、7世紀後半の富本銭へと書き換えられ、教科書の記述も改訂された(日本銀行金融研究所貨幣博物館)。

文字のない銀貨・無文銀銭

富本銭よりさらに古く、文字のない銀の円盤「無文銀銭」が使われていた記録がある。銀の重さで価値を決める秤量貨幣で、日本の貨幣史の原点にあたる(日本銀行金融研究所貨幣博物館)。

最古のお金は3種類に分かれる

文化遺産オンラインの解説によれば、「最古の鋳造貨幣」は富本銭、「最古の秤量貨幣」は無文銀銭、「最古の本格流通貨幣」は和同開珎。視点によって答えが変わるのが面白いところだ。

🔬 とことん深掘り:読書ガイド

読み順ガイド(やさしい→専門)

  1. 『貨幣博物館ガイドブック』(日本銀行金融研究所)
    1次資料に最も近い入門書。展示解説をそのまま学べる決定版。
  2. 『日本古代貨幣の研究』(松村恵司)
    富本銭・和同開珎・皇朝十二銭を体系的に扱う専門書。
  3. 『貨幣の日本史』(東野治之)
    古代から近世までの貨幣を通史として位置づける学術書。

さらに進む方向

  • 考古学(発掘・遺物解析)へ広げる
  • 経済史・貨幣経済論へ接続する
  • 皇朝十二銭・中国輸入銭・撰銭令など貨幣制度の変遷史へ進む

もっと詳しく:歴史と時系列

  1. 7世紀前半〜中頃
    無文銀銭が使われる(銀の重さで価値を決める秤量貨幣)
  2. 7世紀後半
    富本銭が鋳造される(飛鳥池遺跡で1998年に発見)
  3. 708年(和銅元年)
    和同開珎が発行され本格的に流通
  4. 8〜10世紀
    皇朝十二銭が順次発行される
  5. 1998年
    飛鳥池遺跡から富本銭と鋳造道具が出土
  6. 2015年
    日本銀行金融研究所貨幣博物館がリニューアルオープン

ことばのメモ

富本銭
1998年発見の日本最古の鋳造銅銭
和同開珎
708年発行、広く流通した銅銭
無文銀銭
文字のない銀貨、7世紀前半に使用
飛鳥池遺跡
富本銭が出土した奈良の遺跡
秤量貨幣
重さを量って価値を決めるお金

よくある質問

日本で一番古いお金は何ですか?
1998年に飛鳥池遺跡で発見された富本銭が最古の鋳造貨幣です。7世紀後半に作られたと日本銀行金融研究所貨幣博物館が解説しています。
和同開珎は最古のお金ではないのですか?
「本格的かつ継続的に発行され広く流通した」という意味では和同開珎(708年発行)が最古です。富本銭は流通範囲が限られていたと考えられています。
富本銭はどこで発見されたのですか?
1998年、奈良県明日香村の飛鳥池遺跡で発見されました。同じ場所から鋳型やルツボも出土し、製造工房だったことがわかりました。
無文銀銭とは何ですか?
文字のない銀貨で、7世紀前半から中頃に使われました。銀の重さで価値を決める秤量貨幣で、富本銭よりさらに古い記録があります。

学びのタネ

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家でできること

  • 東京都日本橋の「日本銀行金融研究所 貨幣博物館」を訪ねて、富本銭・和同開珎の実物を見てみよう(入館無料)。
  • 図書館で日本貨幣史の本を借り、皇朝十二銭や中国輸入銭が使われた時代の流れをたどってみよう。

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出典・参考文献

  1. 日本銀行金融研究所 貨幣博物館日本貨幣史 本文 参照 2026-07-16
  2. 日本銀行金融研究所 貨幣博物館お金の歴史に関するFAQ 参照 2026-07-16
  3. 文化庁 文化遺産オンライン日本銀行金融研究所 貨幣博物館 参照 2026-07-16

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