お月見はいつからあるの?

公開:2026-08-06 更新:2026-08-06 読了 約6分

図解

1 9世紀ごろ 月をめでる風習が中国から日本へ伝来したとされる 2 延喜19年(919) 寛平法皇が九月十三日に月見の宴を催す(十三夜の起こり) 3 古来 月見の宴・詩歌・池に映す鑑賞など風情ある楽しみ方が定着 4 江戸期の建築 桂離宮は月の鑑賞をふまえて設計されたといわれる 5 2026年9月25日 この年の中秋の名月(満月は9月27日で二日ずれ) 6 2033年 旧暦2033年問題により中秋の名月の日付が案により分かれ る

図解:問いを6ステップで読みとく流れ(自動生成)

月をながめる風習が中国から伝わり、日本で秋の行事に育ったから。

秋になると、お団子だんごとススキをかざって月をながめる「お月見」をしますね。この行事は、いつごろ始まったのでしょうか。

国立天文台こくりつてんもんだいの説明によると、月をながめて楽しむ風習は中国から9世紀ごろに日本へ伝わったとされています。9世紀は平安時代へいあんじだいのはじめのころです。つまりお月見には、千年をこえる長い歴史があるのです。

とくに、むかしのこよみで八月十五日の夕方に出る月を「中秋ちゅうしゅうの名月」とよびます。むかしのこよみでは秋は七月・八月・九月の3か月でした。その真ん中にあたるので「中秋」というのです。

日本ではこの行事が農業のうぎょうとむすびつき、とれたイモをそなえることから「芋名月いもめいげつ」ともよばれます。ただ月を見るだけでなく、秋のみのりに感しゃする気持ちも重なっていったのですね。

楽しみ方も、空を見上げるだけではありませんでした。庭にわの池の水に月をうつしてながめるなど、けしきといっしょに味わう方法がむかしから行われてきました。

さらに、九月十三日の夜に月を見る「十三夜じゅうさんや」という行事もあります。こちらは中国から伝わったものではなく、日本で生まれた風習だとされています。

2026年の中秋の名月は9月25日です。今年もお月さまに会えるでしょうか。

中秋の名月は「陰暦八月十五日の夕方に出る月」を指す。国立天文台の暦Wikiによれば、八月十五日は秋(七、八、九月)のちょうど真ん中にあたるため「中秋」の意である。よく似た「仲秋」は陰暦八月全体を指す言葉であり、仲秋の名月とは言わない、という区別も示されている。

注意したいのは、名月が必ずしも満月ではないという点だ。太陰太陽暦では十五日目ごろが満月にあたるが、天文学的な望の瞬間とはずれることがある。2026年は9月25日が中秋の名月で、満月は翌々日の27日。二日ずれている。

観月の楽しみ方も一様ではなかった。直接見上げるだけでなく、池に映して眺めるといった風情ある方法が古来より行われてきた。桂離宮は月の鑑賞をふまえて設計されたといわれている。中国では中秋節、韓国では秋夕(チュソク)として、今も一大行事であり続けている。

仕組みの科学

中秋の名月の日付が毎年動くのは、行事の基準が太陰太陽暦にあるためだ。太陰太陽暦では、新月(朔)の瞬間を含む日がその月の朔日(ついたち)になる。そこから数えて十五日目が「十五夜」であり、陰暦八月十五日の夜に見える月が中秋の名月と呼ばれる。太陽暦では毎年日付が変わるのは、この二つの暦の刻み方が異なるからである。

国立天文台の解説によれば、太陰太陽暦では満月は月の満ち欠け周期の約半分にあたる十五日目ごろとなる。ただし広く普及した仮名暦には、天文学的な意味での満月=望がいつかという情報は載っておらず、単純に十五夜を名月として扱っていた。ここに、名月と満月がずれるという現象の原因がある。

2026年の例で見ると分かりやすい。9月11日(新月の瞬間は12時27分)が太陰太陽暦の八月一日にあたるため、9月25日が中秋の名月となる。一方で満月は9月27日であり、名月と満月の日付は二日ずれる。名月とは天文現象そのものではなく、暦のうえで定められた日に見える月を指す文化的な呼び名なのだと理解すると、この「ずれ」も自然に受け止められる。

歴史と発見

国立天文台の暦Wikiによれば、お月見・観月の風習は中国から9世紀ごろに伝来したとされる。国立天文台の「中秋の名月」の解説でも、中秋の名月をめでる習慣は平安時代に中国から伝わったと言われている、と説明されている。伝来の年代について「〜と言われています」「〜ごろ」という表現が使われている点は重要で、正確な伝来年を一つに確定できる史料があるわけではない。

古来の楽しみ方は、月を直接見上げるだけにとどまらなかった。月見の宴、詩歌、庭園や池を使った鑑賞など、景色と合わせて味わう方法が受け継がれてきた。桂離宮は月の鑑賞をふまえて設計されたといわれる建築の例として挙げられている。

十五夜と対をなす行事として「十三夜」がある。太陰太陽暦九月十三日の月見で、こちらは日本独自の風習とされる。国立天文台の解説によれば、延喜十九年九月十三日(ユリウス暦で919年10月9日)に寛平法皇が催した月見の宴に端を発するそうだ、と国立国会図書館の資料を引きながら紹介されている。十三夜は後(のち)の月、二夜(ふたよ)の月、栗名月、豆名月などとも呼ばれる。なお十三夜が満月になることはない。なぜ十五夜でなく十三夜を祝うのかについては明確な理由を述べたものがなく、古くからさまざまな俗説が唱えられてきた、とされている。

もう一歩先

お月見は天文と暦と生活文化が交差する行事である。日本では中秋の名月が農業の行事と結びつき、「芋名月」などと呼ばれることもある。団子や芋、月餅といった供え物には収穫祭的な意味合いが読み取れる。東アジアに視野を広げれば、中国では中秋節、韓国では秋夕(チュソク)と呼ばれる一大イベントとなっており、同じ月を見上げる行事が地域ごとに異なる姿へ育っていったことが分かる。

暦の側から見ると、中秋の名月は将来の暦の議論とも接続している。いわゆる旧暦2033年問題は、秋分を含む陰暦月と冬至を含む陰暦月の間に一陰暦月しかないため、天保暦のルールを満たせず、うるう月の置き方が一意に決まらないという問題である。中秋の名月は陰暦八月十五日の夜に出る月であるから、この影響を直に受ける。国立天文台の解説では、示された三つの案のうち案1・案3では9月8日、案2では10月7日になると説明されている。

行事の作法については、地域差があることも押さえておきたい。供え物の内容や数え方は全国一律ではなく、家庭や地方によって受け継がれ方が異なる。行事の起源を一つに決めきらず、天文の事実と文化の言い伝えを分けて眺めること。それが、千年以上続いてきたこの行事とのちょうどよい付き合い方なのかもしれない。

🌱 ためしてみよう!3択クイズ

本文をよんでこたえてみよう。タップでせいかいがでるよ。

Q1. 「中秋の名月」の「中秋」は、どんな意味からきているでしょう。
こたえ:秋のまん中だから
むかしのこよみでは、秋は七月・八月・九月の3か月でした。八月十五日はそのちょうどまん中にあたります。だから「中秋」というのです。にた言葉の「仲秋」は八月ぜんたいを指す言葉で、意味がちがいます。
Q2. 中秋の名月は、かならず満月になるでしょうか。
こたえ:満月とずれることがある
中秋の名月は、こよみで十五日目にあたる夜の月のことです。ほんとうに月が満ちる日とは少しずれることがあります。2026年は9月25日が中秋の名月で、満月は2日あとの9月27日になります。
Q3. 日本で中秋の名月が「芋名月」ともよばれるのはなぜでしょう。
こたえ:農業とむすびついたから
日本では、中秋の名月が農業の行事とむすびつきました。秋にとれたイモをおそなえすることから「芋名月」ともよばれます。月をながめる楽しみに、みのりへの感しゃが重なった呼び名なのです。

👤 大人のちょっとした雑学

「仲秋」と書くと名月にならない

国立天文台の暦Wikiは、仲秋は陰暦八月全体を指す言葉であり「仲秋の名月」とは言わない、と明記している。秋の真ん中の一日を指すのは中秋のほう。変換ミスが意味まで変えてしまう例だ。

十三夜は日本オリジナル

十五夜が中国由来なのに対し、九月十三日の十三夜は日本独自の風習とされる。延喜十九年九月十三日(ユリウス暦919年10月9日)に寛平法皇が催した月見の宴に端を発するそうだ、と国立国会図書館の資料を引いて紹介されている。

2033年、中秋の名月は決まらない

旧暦2033年問題では、天保暦のルールでうるう月の置き方が一意に決まらない。中秋の名月は陰暦八月十五日の月なので直撃を受け、案1・案3なら9月8日、案2なら10月7日と割れる。

もっと詳しく:歴史と時系列

  1. 9世紀ごろ
    月をめでる風習が中国から日本へ伝来したとされる
  2. 延喜19年(919)
    寛平法皇が九月十三日に月見の宴を催す(十三夜の起こり)
  3. 古来
    月見の宴・詩歌・池に映す鑑賞など風情ある楽しみ方が定着
  4. 江戸期の建築
    桂離宮は月の鑑賞をふまえて設計されたといわれる
  5. 2026年9月25日
    この年の中秋の名月(満月は9月27日で二日ずれ)
  6. 2033年
    旧暦2033年問題により中秋の名月の日付が案により分かれる

ことばのメモ

中秋の名月
むかしの八月十五日の夜の月
太陰太陽暦
月の満ち欠けをもとにしたこよみ
芋名月
イモをそなえる名月の呼び名
十三夜
九月十三日に月を見る日本の行事
朔
新月になるちょうどその瞬間

よくある質問

2026年の中秋の名月はいつですか?
2026年の中秋の名月は9月25日です。満月は翌々日の9月27日にあたるため、名月と満月の日付が二日ずれる年になります。国立天文台のほしぞら情報で確認できます。
中秋の名月は必ず満月ですか?
いいえ。太陰太陽暦の十五日目を名月とするため、天文学的な満月の瞬間とずれることがあります。2026年も二日のずれがあります。
「仲秋」と「中秋」はどう違うのですか?
中秋は秋の真ん中にあたる陰暦八月十五日を指します。仲秋のほうは陰暦八月全体を指す言葉で、仲秋の名月とは言わない、と国立天文台の暦Wikiは説明しています。
十三夜は中秋の名月と何が違いますか?
十三夜は太陰太陽暦九月十三日の月見で日本独自の風習です。延喜十九年に寛平法皇が催した宴に端を発するとされ、満月になることはありません。

学びのタネ

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家でできること

  • 国立天文台のほしぞら情報で、今年の中秋の名月と満月の日付が何日ずれているか調べてみよう。
  • 9月25日の夜に月を見上げて、スケッチや写真で形を記録し、二日後の満月と見比べてみよう。
  • 家の近くで月がよく見える場所をさがし、池や窓ガラスに映る月の見え方もためしてみよう。

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出典・参考文献

  1. 国立天文台 暦計算室暦Wiki/中秋の名月とは 参照 2026-08-06
  2. 国立天文台 暦計算室暦Wiki/中秋の名月とは/十三夜 参照 2026-08-06
  3. 国立天文台中秋の名月(2026年9月) 参照 2026-08-06

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