図解
図解:問いを6ステップで読みとく流れ(自動生成)
目を守るため。うるおす涙、ゴミを洗う涙、気持ちの涙の3種類があるんだ。
かなしいとき、うれしいとき、そして玉ねぎを切ったとき——わたしたちの目からは涙が出ますね。涙は、どうして出るのでしょう。
涙のいちばん大切な役目は、目を守ることです。東北大学の眼科の先生によると、涙は目の表面をうるおし、ごみや刺激から目を守り、表面をなめらかにたもって、ものがはっきり見えるように助けています。じつは涙には、大きく分けて三つのしゅるいがあります。
一つ目は、いつも少しずつ出ていて、目がかわかないようにする涙です。二つ目は、目にごみが入ったときや、玉ねぎを切ったときに、どっと出てくる涙。これは、じゃまなものを洗い流すための反射です。そして三つ目が、かなしいときやうれしいときなど、気持ちが大きく動いたときに出る涙です。
玉ねぎを切ると涙が出るのは、切られた玉ねぎから、目をしげきする成分がとび出すからです。東京大学の研究では、この催涙成分がどうやってできるのか、そのしくみが世界で初めて明らかにされました。
涙は、ただの水ではありません。目を守り、気持ちをあらわす、とても大切なはたらきをしているのですね。
涙には、大きく三つの種類がある。いつも少量ずつ分泌されて目の表面をうるおす「基礎分泌の涙」、ごみや玉ねぎの刺激に反応してどっと出る「反射の涙」、そして感情が高ぶったときに流れる「情動の涙」だ。東北大学の眼科医によれば、涙は目を刺激から守り、角膜に酸素や栄養を届け、表面をなめらかに保って視界を安定させる大切な役割を担う。その正体は九割以上が水だが、油層・水層・ムチン層という三つの層が重なり、水分が蒸発しないよう精巧に作られている。玉ねぎで涙が出るのは、切られた組織から催涙成分プロパンチアール-S-オキシドが生じて目を刺激するためで、東京大学のグループはこの成分が作られる反応のしくみを世界で初めて解明した。なお、感情によって流れる涙はヒト特有のものと考えられているが、その仕組みにはまだ分かっていないことも多い。涙は、目を守る水であり、心を映す鏡でもあるのだ。
仕組みの科学
涙は、目の上のほうにある涙腺という器官で作られ、まばたきのたびに目の表面へ広がっていく。東北大学の眼科医の解説によれば、涙は九割以上が水でできているが、単なる水ではない。いちばん外側の「油層」は水分の蒸発をふせぎ、その内側の「水層」には水分や電解質、タンパク質がふくまれ、いちばん内側の「ムチン層」は水分を目の表面にとどめる役目をはたす。この三層構造のおかげで、涙は目の表面をなめらかにおおい、角膜に酸素や栄養を届け、ものをはっきり見るための光の通り道を安定させている。涙には役割ごとに三つの種類がある。常に少しずつ出て目をうるおす基礎分泌の涙、ごみや刺激に反応して大量に出る反射の涙、そして感情が動いたときに流れる情動の涙だ。とくに情動の涙では、大脳辺縁系という脳の部分を介して自律神経が刺激され、涙腺から涙が分泌されると説明されている。目を守る水でありながら、心の動きともつながっているのが、涙のふしぎなところである。
歴史と発見
「玉ねぎを切ると涙が出る」——だれもが知っているこの現象の裏には、精巧な化学のしくみがかくれている。玉ねぎは、切られて組織がこわれると、それまで別々にあった成分と酵素が出会い、次々と反応を起こす。その結果うまれるのが、プロパンチアール-S-オキシドという催涙成分だ。この物質が空気中にとび出して目の表面にとどくと、目はそれを刺激と感じ、洗い流そうとして反射の涙を大量に出す。長いあいだ、この催涙成分がどのように作られるのかは、くわしく分かっていなかった。東京大学大学院農学生命科学研究科の荒川孝俊助教と伏信進矢教授らのグループは、催涙因子合成酵素と呼ばれる酵素のはたらきに注目し、タンパク質の立体構造の解析やスーパーコンピュータによる計算を組み合わせて、催涙成分が作られる反応のしくみを世界で初めて解明した。何気ない台所の現象も、突きつめれば最先端の科学につながっている。身近な「どうして」を追いかけることの面白さが、ここにもよく表れている。
もう一歩先
三つの涙のなかでも、とりわけ不思議なのが、気持ちが動いたときに流れる情動の涙だ。かなしいときだけでなく、うれしいとき、感動したとき、くやしいときにも、わたしたちは涙を流す。感情によって涙を流すのはヒト特有のことだと考えられているが、なぜ人だけが涙を流すのか、その理由や仕組みには、まだ分かっていないことが多く残されている。よく「なみだを流すとすっきりする」ともいわれるが、涙と気持ちの関係については、科学的にまだ研究のとちゅうの部分も多い。だからこそ、かんたんに断定せずに「どうしてだろう」と考え続けることが大切だ。ところで、涙が目を守る水であることを思い出すと、目に入ったごみを洗い流す反射や、鼻に入った異物をふき飛ばすくしゃみと、根っこは同じであることに気づく。どれも、体が自分を守るためにそなえたしくみだ。涙は、そのなかでもとりわけ、体を守るはたらきと、心の動きとが結びついた、人間らしい現象なのである。
🌱 ためしてみよう!3択クイズ
本文をよんでこたえてみよう。タップでせいかいがでるよ。
Q1. 涙のいちばん大切な役目は何でしょう?
Q2. 玉ねぎを切ると涙が出るのはなぜでしょう?
切られた玉ねぎから、目を刺激する催涙成分がとび出すためです。東京大学の研究では、この成分が作られる仕組みが世界で初めて明らかにされました。
Q3. 涙は大きくいくつの種類に分けられるでしょう?
涙は大きく三つに分けられます。いつも目をうるおす基礎分泌の涙、ごみや玉ねぎで出る反射の涙、そして気持ちが動いたときに出る情動の涙です。
👤 大人のちょっとした雑学
涙は三層構造の精密な液体
東北大学の眼科医によれば、涙は九割以上が水だが、油層・水層・ムチン層の三層が重なる。油層が水分の蒸発を防ぎ、ムチン層が水分を目にとどめる。涙は単なる水ではなく、目を守る精密な液体なのだ。
玉ねぎの催涙成分を東大が解明
玉ねぎを切ると生じる催涙成分プロパンチアール-S-オキシド。東京大学のグループは、この成分が作られる反応の仕組みを、タンパク質の立体構造解析とスーパーコンピュータ計算によって世界で初めて解明した。
感情の涙はヒト特有と考えられる
情動の涙では、大脳辺縁系を介して自律神経が刺激され涙腺から分泌される。感情で涙を流すのはヒト特有とされるが、なぜ人だけが泣くのか、その仕組みには未解明の部分が多く残されている。
🔬 とことん深掘り:読書ガイド
読み順ガイド(やさしい→専門)
- 目やからだのしくみをあつかった子ども向けの図鑑
涙や目のはたらきを絵で見て、涙が目を守る水であることをつかむ。 - 目や感情のしくみをあつかった一般向けの科学書
涙の三つの種類や、感情と体の関係を平易に学ぶ。 - 生理学や神経科学をあつかった専門的な入門書
涙腺の分泌や自律神経のはたらきなど、体を調節するしくみへ踏み込む。
さらに進む方向
もっと詳しく:くらべてみる
- うるおす涙(基礎分泌)いつも少しずつ出て、目がかわかないようにする
- 洗い流す涙(反射)ごみや玉ねぎの刺激に反応して、どっと出る
- 気持ちの涙(情動)かなしい・うれしいなど感情が動いたときに出る
ことばのメモ
- 涙腺
- 涙をつくる、目の上のほうにある器官
- 角膜
- 目のいちばん前をおおうすきとおった膜
- 反射
- 体が考えなくても自動で起こる反応
- 催涙成分
- 目を刺激して涙を出させる物質
- 情動の涙
- 気持ちが動いたときに流れる涙
よくある質問
涙は、何のために出るのですか?
涙には種類があるのですか?
玉ねぎを切るとどうして涙が出るのですか?
気持ちで出る涙は、人間だけのものですか?
学びのタネ
この問いに関連する本・実験・サービスのご紹介です。
家でできること
- 自分が涙を流すのはどんなときか書き出して、うるおす涙・反射の涙・気持ちの涙のどれかを考えてみよう。
- 涙・くしゃみ・せきなど、体が異物を洗い流したり追い出したりする反射をくらべて調べてみよう。
おとな向けに:新書・実用書
とことん深く:専門書・古典
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出典・参考文献
- 東北大学 東北大学病院 眼科眼科医がお答えします「涙をめぐる10の質問」(前編) 参照 2026-07-04
- 東京大学大学院農学生命科学研究科タマネギ催涙分子生成の複雑なプロセスを解明 参照 2026-07-04
出典・正確性ポリシー:詳しく読む
涙のいちばん大切な役目は、目を守ることです。東北大学の眼科医によれば、涙は目の表面をうるおし、ごみや刺激から守り、なめらかにたもってものがはっきり見えるよう助けています。