図解
図解:問いを6ステップで読みとく流れ(自動生成)
世界の天文学者が話し合って、空ぜんたいを88の区画に分けたから。
よぞらを見上げると、たくさんの星が光っていますね。オリオンざ、はくちょうざ……星座の名前を聞いたことがあるかな。じつは星座は、世界の天文学者たちの話し合いで88個と決められているんだ。
むかしは、同じ星のならびでも国や時代によって見立てがちがっていました。ある国ではクマ、べつの国ではひしゃく、というふうにバラバラだったんだ。これでは研究する人どうしで話が通じません。そこで1922年、世界の天文学者が集まる国際天文学連合という会議で、88の星座の名前と略号が決められました。
もっとおどろくのは、星座が「星のならび」ではなく「空の区画」だということ。地図に県の境がひかれているように、空ぜんたいを88の区画にきっちり分けたんだよ。この境界線は1928年の会議で採用され、1930年に本にまとめられて、いまの88星座が確定しました。
だから空にうかぶどの星も、88のうちのどれか一つの星座に、重なることなくふくまれているんだ。星を見るときは「この星はどの区画かな」と考えると、夜空が地図みたいに見えてくるよ。
星座と混同されやすい概念にアステリズムがある。北斗七星や夏の大三角は星座ではなく、星座の一部や複数の星座にまたがる「星の並び」を指す通称だ。国際天文学連合が1928年に採択した境界は、赤経・赤緯の線に沿った直線で区切られている。この方式のおかげで、恒星はどれか一つの星座に重複なく所属することになり、天体の位置を「わし座の領域にある」と機械的に指定できるようになった。境界を引いた中心人物はベルギーの天文学者ウジェーヌ・デルポルテで、その成果は1930年に『星座の科学的な境界』として出版された。星座名は現在も国際的な略号で扱われ、たとえばオリオン座はOri、はくちょう座はCygと表記される。星の名前や位置を世界共通で扱うための、いわば天球上の住所制度である。
仕組みの科学
現代の天文学における星座の定義は、多くの人が抱くイメージとかなり異なる。日常語としての星座は「星をつないでできる形」を指すことが多いが、国際天文学連合が定めた星座は天球を隙間なく分割した領域そのものを指す。地上の地図で都道府県が境界線によって区切られ、どの地点もいずれか一つの県に属するのと同じ構造だ。国立天文台の解説でも、星どうしを結んでできる形である北斗七星や夏の大三角などのアステリズムとは区別されると明記されている。この区画方式が採用されたことで、天体の位置を語るときに「この星はどの領域にあるか」を一意に指定できるようになった。新しく発見された天体や変光星の命名でも、所属する星座名が識別の手がかりとして使われる。星座は物語の器であると同時に、天球という広大な空間を管理するための実務的な区分でもある。星空を見上げるとき、線でつないだ形の背後に、目に見えない境界線が走っていると考えると視点が変わる。
歴史と発見
星座の起源は古代メソポタミアにさかのぼるとされ、そこからギリシャへ伝わって体系化された。2世紀の天文学者プトレマイオスがまとめた48星座は、その後長く西洋天文学の標準として扱われてきた。大航海時代に入ると、ヨーロッパから見えない南天の星域が観測されるようになり、新しい星座が次々に考案される。顕微鏡座や望遠鏡座のように当時の発明品にちなむ名前が並ぶのはこのためだ。しかし考案者ごとに異なる星座が乱立した結果、同じ星域に複数の呼び名が併存する混乱が生じた。この状態を整理したのが国際天文学連合である。1922年の第1回総会で88の星座名と略号について合意がなされ、1925年の第2回総会では境界線が提案された。そして1928年の第3回総会でその境界が採択される。成果はデルポルテの著作として1930年に出版され、ここに現行の88星座が確定した。星座の数は自然が決めたものではなく、研究者たちが共通言語を作るために選び取った取り決めなのである。
もう一歩先
88星座は国際的な取り決めだが、日本には独自の星の呼び名も受け継がれてきた。すばる(プレアデス星団)や、オリオン座の三つ星を指すからすき星など、農作業や漁の目印として土地ごとに使われてきた名前が各地に残っている。国立天文台は流星群の和名についても解説を公開しており、外来の名称と在来の呼称が併存してきた経緯がうかがえる。現代では星座は単なる伝承ではなく、実務的な座標系の一部として機能している。たとえば新しく見つかった超新星や小惑星の報告では、その天体がどの星座の領域に位置するかが位置情報の一部として扱われる。変光星の命名規則でも所属星座名が識別子の一部に組み込まれており、星座名は観測データを整理する索引の役割を担っている。プラネタリウムや天文アプリが表示する星座の境界線も、1928年に採択されたあの直線に基づいている。画面上で星座をなぞる線と、その背後で静かに走る境界線は、由来がまったく異なるものだ。神話として語り継がれてきた図像と、科学が必要とした厳密な区画。この二つが同じ「星座」という言葉に同居している点が、天文学の歴史的な奥行きを物語っている。
🌱 ためしてみよう!3択クイズ
本文をよんでこたえてみよう。タップでせいかいがでるよ。
Q1. 星座は世界でいくつと決められている?
Q2. 天文学でいう星座はどんなもの?
星座は空の区画です。地図で県の境がひかれているのと同じように、空ぜんたいが88に分けられていて、どの星もいずれか一つの区画にふくまれます。北斗七星のような星のならびはアステリズムと呼ばれ、星座とは区別されます。
Q3. いまの88星座が確定したのはいつ?
1928年の総会で境界線が採択され、その成果をまとめた本が1930年に出版されて現在の88星座が確定しました。名前の合意はそれより前の1922年です。
👤 大人のちょっとした雑学
星座の境界は直線でできている
1928年に採択された境界は、赤経・赤緯の線に沿った直線で構成されている。曲線を使わないことで座標から所属星座を機械的に判定でき、恒星はどれか一つの星座に重複なく所属する。天球版の行政区画といえる。
南天の星座名は発明品だらけ
大航海時代以降に南天へ設定された星座には、顕微鏡座・望遠鏡座・ポンプ座・じょうぎ座など当時の器具にちなむ名が並ぶ。神話由来の北天の星座と比べると、命名された時代の空気がそのまま残っている。
略号は3文字で世界共通
オリオン座はOri、はくちょう座はCyg、みなみのうお座はPsA。IAUが定めた3文字略号は論文でも星表でも使われ、言語の壁を越えて天体の位置を指し示す共通記法として機能している。
🔬 とことん深掘り:読書ガイド
読み順ガイド(やさしい→専門)
- 星座早見と星空観察の入門書
まず自分の目で区画と星の対応をつかむ。実物の空を知らないまま歴史書に入ると、星座名が記号のままで終わってしまう。 - 星座の文化史(神話と図像の解説書)
メソポタミアからギリシャへ至る見立ての変遷を追える。同じ星域が文化ごとに異なる物語を与えられてきた事実が実感できる。 - 天球座標系の教科書(球面天文学)
赤経・赤緯と歳差の扱いを理解すると、なぜ境界を直線で引く必要があったかが技術的に腑に落ちる。 - 国際天文学連合の総会記録・星表の解説
88という数字が決議として確定していく過程を一次資料に近い形で追える。科学の合意形成そのものを読む体験になる。
さらに進む方向
もっと詳しく:歴史と時系列
- 古代メソポタミアで星の見立てが生まれ、ギリシャへ伝わる
- 2世紀プトレマイオスが48星座をまとめる
- 大航海時代南天の星域に新しい星座が次々考案される
- 1922年国際天文学連合の第1回総会で88の星座名と略号を合意
- 1925年第2回総会で星座の境界線が提案される
- 1928年第3回総会で境界線が採択される
- 1930年デルポルテの著作が出版され、現行の88星座が確定
ことばのメモ
- 星座
- 空を88に分けた区画
- アステリズム
- 星をつないだ形の通称
- 国際天文学連合
- 世界の天文学者の団体
- 赤経・赤緯
- 空の上の経度と緯度
- プトレマイオス
- 48星座をまとめた学者
よくある質問
北斗七星は星座じゃないの?
星座は今から増えることはあるの?
12星座うらないの星座とはちがうの?
日本からは88すべて見られるの?
学びのタネ
この問いに関連する本・実験・サービスのご紹介です。
家でできること
- 晴れた夜に星座早見盤を回して、今の時刻に見える星座の区画を探してみよう
- 気に入った星座の略号(オリオン座はOriなど)を調べて、世界共通の記号を並べてみよう
おとな向けに:新書・実用書
とことん深く:専門書・古典
読み放題・聴き放題
家でも教室でも、学びを深める
※ Amazonアソシエイト参加者として適格販売により収益を得ています。A8.net等の広告主から発番されるリンクは順次差し替えていきます。
出典・参考文献
- 国立天文台88星座と国際天文学連合 参照 2026-07-28
- JAXA宇宙科学研究所星座の数はどれぐらいあるのですか? 参照 2026-07-28
- 日本天文学会天文学辞典「星座」 参照 2026-07-28
出典・正確性ポリシー:詳しく読む
国立天文台の解説によると、星座の名前と略号は1922年の国際天文学連合の総会で88と合意されました。うらないで使う12の星座は、そのうちの一部にあたる名前です。